この記事を読むのに必要な時間は【約 11 分】です。

老後資金を貯められない人
老後資金を貯めようと思っても、なかなか貯めることが出来ない人は要注意です。

もしも、十分な額の老後資金を老後生活に入るまでに、貯めることが出来なかったら、老後破産してしまう可能性が高くなります。

老後資金を用意しなければならない理由について、いくつか例を挙げていきます。

中には当てはまらないケースもあるかも知れませんが、少なくとも老後資金を用意しておかなければ、老後生活は大変なことになってしまう恐れがあることを感じていいただけると思います。

定年退職する前から給料は減っていくという現実

会社に就職して頑張って仕事をしていれば、定年退職するまではずっと給料額はアップし続けるものだと誰もが考えがちです。

長引く不景気の影響で、定年まで雇用し続けるという終身雇用制度を取り止めてしまう企業が続出したのは記憶に新しいところです。

たとえ大手企業であっても、定年退職するまでは安泰という神話は崩壊しており、いつリストラされるか分からない状況にあるだけでなく、一部上場企業であっても倒産してしまう時代となっています。

20代や30代の若い人であれば、年齢と共に昇給があるかも知れませんが、いまや定年退職する随分と前から、昇給がストップされるケースや、場合によっては給料が減額されるケースもあるようです。

いまの給与収入がこの先もずっと続くだろうとずっと考えがちですが、実際には収入が急減する例があるのです。

定年退職する前の50代半ばで給料が減額される役職定年という制度を導入している企業が増えてきています。

バブル崩壊後、人件費を削減することを目的として多くの企業で実施されてきた役職定年は、500人以上の大企業のうち約4割が導入しているという統計データもあります。

だいたい55歳くらいで、それまでの給料の1割~2割程度下がるケースが多く、中には3割以上も減額されてしまう会社もあるようです。

ここで問題なのは、55歳という年齢は丁度、子供が成長して大学進学などの教育費が一番必要となる時期を重なっていることです。

頑張って仕事を続けて、係長、課長、部長を順調に昇格して給料が増えてきた人も、会社の人件費削減のために、定年退職を前に役職が無くなるというこの役職定年という制度、多くの会社で導入されています。

役職定年という人件費を削減するための制度があることを知らないまま、住宅ローンの返済や教育費のことを考えている人も多いようです。

まずは役職定年による収入減のリスクがあるのか、無いのかをはっきりしておく必要があります。

給料の額は大幅に減額されるというリスクがあるのなら、しっかり貯蓄をしておかなければならないのは、言うまでもありません。
5つの収入減リスク
ここでは収入が急減するというリスクの紹介でしたが、まだ他にも、多くの人に当てはまる収入が減ってしまうリスクがあります。この後は、さらに4つの収入減のリスクを挙げていきます。

次の4つのリスクとあわせて5つの収入減のリスクは、実際に起こる可能性のあるものであり、いまの収入がいつまでも続かないことを認識しておきましょう。

今後起こり得るであろう収入減のリスクをしっかり想定した上で、ライフプランを立てて、老後資金の準備を少しでも早くはじめることをおすすめします。

定年後の再雇用で給料は大幅に減額される

定年になる年齢こそ会社によって違いはあっても、役員や社長などの取締役にでもならない限り、定年後は多くの会社で給料は減額されてしまいます。

これまでは日本の会社では60歳を定年としてきましたが、高齢者継続雇用制度という決まりによって、定年を60歳から65歳に引き上げることになりました。

この制度は、定年は60歳だけれど、希望すれば65歳まで働くことができるというものですが、気をつけなければならないのは、働くことはできても給料は同じでは無いという点です。

社員を65歳まで雇用することを義務付けられたことによって、多くの企業が60歳の定年後にも働くことのできる再雇用制度を導入しています。

再雇用制度とは、一旦60歳で退職して、改めて雇用契約を結ぶというものであり、嘱託やパートといった雇用形態に変更されて、賃金額が大幅に減らされることになります。

要するに定年前の正社員待遇とは全く異なる雇用条件に変更されることを覚悟しておく必要があるのです。

気になるのは、どのくらい賃金が減額されてしまうのかということですが、約5割の会社で再雇用後の給料が定年する前の50%~80%程度になっています。さらに約3割の会社では、50%以下にまで減額されています。
再雇用時の給与水準
従業員を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況について調査した、厚生労働省の公表による「高年齢者の雇用状況」を見てみると、定年した後に再雇用された時の給与水準が分かります。

ここまで紹介した2つの収入減リスク
・55歳の役職定年によって給料カットされるリスク
・60歳の定年退職後の再雇用によって給料カットされるリスク

多くの会社では、50歳代以降は昇給されることは無く順次、給料がカットされるという現実があります。まずは、自分が勤めている会社の給与体系(高年齢者継続雇用における再雇用時の給与水準)がどのようになっているのかを確かめてみることをお勧めします。

年金生活の収入は年金受給のみになる

60歳で定年退職して再雇用されたとしても、働くことができるのは65歳までの会社がほとんどどです。

中には定年制度がそのものが無かったり、希望すれば好きなだけ働くことのできる会社もありますが、大部分の人は65歳で会社を辞めて、年金生活に入ることでしょう。

学校を出て就職して、これまでずっと会社から給料をもらってきましたが、65歳で定年退職すると、言うまでもなく給料はゼロになっていまいます。

これが3つ目の収入減のリスクです。

前述の2つの収入減リスクに比べると一般的によく知られていることであり、退職する前までの給料収入から、年金による収入だけになることは誰もが分かっていることでしょう。

しかし、老後生活において頼みの綱である年金収入について、具体的にどのくらいの年金を受給することができるのか、把握している人は多くないようです。

65歳以降の年金収入がいくらになるのか、分かっていない人がほとんどなのです。

老後生活になった時の収支のバランスが分かっていなければ、どれくらいの老後資金が必要なのか算出することは不可能です。

あくまでも平均データなので参考程度にしかなりませんが、厚生年金の平均受給額は月16万6,000円(男性、基礎年金と合わせた場合)となっており、年間では約199万円になります。

また、夫が平均的サラリーマンで妻が専業主婦であった場合、夫の厚生年金と妻の国民年金を合わせて、平均受給額は月20万円となっており、年間240万と計算できます。

もちろん厚生年金の受給額は人によって変わりますが、現役時代の収入が高かったとしても、年金には上限があるので、平均と比べてもせいぜい年に50万程度しか差がないので、年間290万ほどにしかなりません。

公的年金生活に入ると収入は減ってしまいます。この65歳を境に収入が減ることが分かっていたとしても、多くの人が生活の消費レベルを下げることが出来ていないそうです。

何もかも我慢するような節約生活を送るのは、つつましく美徳なことのように感じられますが、現実問題としてストレスの多い生活になるのも事実です。

老後の生活をどのように送るのかは人それぞれですが、できることなら、我慢ばかりのストレスの多い生活をするよりは、心静かに優雅に過ごしたいと思うのはわたしだけでは ないはずです。

ここまでで3つの収入減リスクを紹介してきましたが、残りの2つの収入減リスクも、安心して過ごせる老後生活のためには、考えておかなければならないものです。

企業年金は途中で打ち切られる可能性大

そもそも企業年金についてよくわからない人も多いと思います。企業年金とは簡単に言うと、企業が運営する年金制度のことであり、具体的には退職金を運用する制度となっています。

一般的に知られているのは、国が運営している国民年金や厚生年金といった公的年金ですが、企業年金は民間の企業が運営している私的な年金となっています。

企業年金は大きく分けると3つに分類されます。
「確定給付型」企業年金
会社が最終的に支払う(給付する)金額の算定式を決めて運営しているのが特徴です。50年近く続いている伝統的なタイプの企業年金であり、現在大企業も中小企業も利用する制度となっています。予め決められた支払い条件によって、決められた金額を退職後に受給するものです。
「確定拠出型」企業年金
日本版401kとも呼ばれており、会社が積み立てる(拠出する)金額のみが確定しているのが特徴です。資産運用については自分で運用方法を決めてお金を増やしていきます。制度の運営そのものは会社が責任をもって行っていますが、運用の選択肢があるので、自己責任型の企業年金制度と呼ばれることもあります。
「共済型」企業年金
企業年金を独自に運営することが難しい中小企業のために用意されているのが共済制度です。会社は毎月共済制度に従業員ごとの掛金を積み立てていき、その後は共済制度側が管理、運用、給付を行っています。

60歳で定年退職して給与収入が減ったとしても、企業年金があれば老後生活の支えになります。

しかし、長引く不景気の影響により、多くの会社でそれまで運営していた企業年金を廃止したり、制度が残っていたとしても会社の負担を低減させるために、支給期間に定めを設けているケースが増えてきています。

従来の企業年金といえば、終身で支給されるのが当たり前でしたが、いま現在では10年~15年程度の有期型の企業年金が多くなってきています。

企業年金が支給されている期間は問題なく生活できていたけれど、支給が打ち切られたことによって収支がマイナスとなり、公的年金だけでは生活費が足りずに、貯金を取り崩しながらの生活になってしまう人も多く見られます。

この状態が長く続くと、いずれは貯金が底をつき、ついには老後破産に陥ってしまうことも十分に予想されることです。

企業年金の支給期間には定めがあることを退職時には説明があったはずですが、10年15年と年月が経つ間に、打ち切りがあることをつい忘れてしまっていたという人もいるそうです。

4つ目の収入減リスクは、突然やってくる企業年金の支給打ち切りですが、この時期は高齢になってきており、病気の治療費や介護費用などの支出も増えることが予想されるので、収入が減ることは大きなダメージになってしまいます。

まずは、いま勤めている会社に企業年金制度があるのか無いのか、そして支給期間に定めがあるのかどうか、事前に確認しておく必要があります。

突然やってくる公的年金の支給減

公的年金の場合、妻がずっと専業主婦であったとしても年金を受給することができます。例えば、夫が平均的サラリーマンで、現役時代の平均年収が720万円で、妻が専業主婦であった場合には、夫の厚生年金158万円と夫と妻の基礎年金78万円をそれぞれ合わせた年金の受給額は年314万円となり、月26万円ほどになります。

平均寿命の統計データを見ると、いつの時代も男性の方が短くなっているので、夫が先に亡くなる確率が高いと考えられます。

妻を残して夫が先に亡くなった場合、先に算出した年金額は減額されることになります。これが5つ目の収入減リスクです。

配偶者の死によって年金の受給額は減額されますが、夫が先に亡くなった場合、夫の厚生年金158万円が4分の3に減額されて、遺族年金という名目になって支給されることになります。

妻が受け取る年金額は、遺族年金118万円と自分の基礎年金78万円の合計196万円という計算になります。夫婦でもらっていた時の年金314万円から比べると、118万円も減額されることになってしまいます。

高齢者世帯の生活費に関する調査データを見てみると、たとえ1人になったとしても、それまでの夫婦2人の時の支出から比べて、大幅に減ることはありません。

夫が亡くなって年金の支給額が減額されると、毎月の生活費の赤字幅が大きくなり、老後生活が苦しくなるというケースも少なくないようです。

老後の資金は自分で用意すること

上記の5つの収入減リスクは、知っているのと知らないのとでは、実際にリスクに見舞われたときの対処に大きな差が出てきます。

準備ができていなくても、どうにか対処して事なきを得られる場合もありますが、できることならスムースに問題をクリアしたいものです。

これらの収入減のリスクを乗り切るためには、現在の年収がいつまでも続くのでは無いということをしっかり認識して、老後資金を準備しておく必要があります。

いずれ収入は減額されてしまうことを前提とすれば、できるだけ早いうちから、老後のための貯蓄を残しておくことが必要であることが分かります。

いまの若い世代の人たちの意識に変化が出てきていることを表している事例があり、自分で退職金(広い意味で年金)を準備しているようです。

退職金制度や企業年金制度は、会社経営の負担になることから、制度自体を廃止している会社も増えています。

そんな中で、個人が自分自身で年金を運用するという意識が高まってきており、2017年5月には、個人型の確定拠出年金の加入者が全国で50万人を突破したことが分かりました。

これまで個人型確定拠出年金は会社に企業年金制度が無い人や自営業者などに限定されていましたが、制度改正によって全ての現役世代(会社員はもちろん主婦も含む)が対象となったのが影響しています。

税制優遇が60歳まであるという点も大きなメリットですが、新規加入者の中心は30歳~40歳代となっており、公的年金に対する不安からか、自分の年金は自分で準備するという意識が高まってきているのではないでしょうか。

いずれにしても、方法は何であれ、早めに老後資金の準備をはじめることをおすすめします。